Diversity is a key to successful research!
渡米後2か月が過ぎた。一応の滞在予定は2年間なのでもう12分の1が終わってしまった! 今月はいじっていた分析がうまくいかなくなって(というかデータの振る舞いが少しおかしくてちょっとSkepticになっている)、ドッと疲れが出たりもした。またうまくペースを刻み直したい。
ちなみに写真は、近所をジョギングしていた時に見つけた鹿。普通にいる。
新学期になりしばらく経ち、すべてのポスドクが着任したので、ポスドク向けのオリエンテーションがあった。ポスドクとしてのRequirementについて主に説明があったのだが、UNCのポスドクのとらえ方が印象的だった。UNCのポスドクトレーニングプログラムポリシーには、“Recent UNC-CH PhDs/former CPC trainees are discouraged from applying as CPC postdocs”とわざわざ記載してある。また、CPCのディレクターである教授は、UNC出身の人ではない人にAffirmative actionを取るとわざわざ言っていた。Diversityがセンターとっても、ポスドクにとっても重要であるということが文化として共有されているのだろう。これは日本もちゃんと見習いたいところだ。
学振PDも博士課程の時と所属を変えないといけないというルールが導入された。これはいいことだと思う。でも、もっとダイナミックにインタラクションが起こることが重要だと思う。同じような研究をしている人を探すとか、そして教授のつてを頼ってということでは、「博士の単なる延長」のポスドクになってしまうだろう。こちらに来て話を聞くたびに、高校の友達が書いた記事のことをよく思い出す。
あと一人でグズグズ考えて時間を無駄にするなという話もされた。そんなのはUnproductive avenueであると。日本人的感覚だと、自分で試行錯誤してこそきちんと身につくなんて思ってしまいがちだが、その辺は合理主義なアメリカとの違いなのかもしれない。もっとも定期的に教授とは面談して研究の相談をしているので、個人的には問題がないのだが、将来、学生や後輩に対して研究指導するときの指針になりそうだ。
こちらではセミナーやワークショップがお昼の時間を使って開催されている。役に立つものも役に立たないものもあるのだが、圧倒的に数が多い。今月は連絡できたものはほとんど出席してみたが、少しセーブした方がいいかもしれない。ただ、DiversityとのExposureという意味では食わず嫌いをせずに出てみることは重要だとは思うのだが。
今月まず印象に残ったのは、図書館が主催した“Making an impact with data visualization”というデータビジュアライゼーションの講義だ。図書館はデータビジュアライゼーションに限らず、統計やGISなどについてのTutorialを頻繁にやっている。こういうスケールメリットがあることをガッチリ組織としてやれているのが、アメリカの大学の強さなのだと思う。今回の講義は、データを見せるときにどのようなことに気をつけるべきかという内容だった。内容自体は自分が普段気を付けていることだったのだけど、こういう内容でセミナーをするということに驚きがあった。(将来、自分で授業するとしたら、簡単なビジュアライゼーションのルールを教えた後に、ダメな例をどう改善するかというプレゼンをさせるのがいいかなと思った。)
あと印象に残ったのは、Social Epidemiology Seminarで聞いたConsequential Epidemiologyの話。自分で研究をしている先生ではなくて、他の研究者の研究の紹介なんだけど、紹介された教科書や論文はどれも一読の価値がありそうだった(←まだ読んでない。この消化不良をどうにかしないといけない)。紹介されたものの一部は下に紹介。
そういえば、9月15日の木曜日には自分でも発表した。15分発表+15分Q&AでCPCの中での発表。20~25人くらいが出席していた。“Aging and Population Decline in Japan”と題して、日本の高齢化の話、そしてJAGESのデータを使ってやらせてもらった研究の紹介をした。何度も練習していったこともあって、とても好意的な反応だった。質問もたくさん出たのは良かったし、終わったあとにもその翌日にもいろいろな人に話しかけられたのも良かった。一部英語の意味が分からずQ&Aでちぐはぐになったところもあったが、まぁ、わかりやすく話さない向こうが悪いということにする笑 今後もこういう機会を見つけて積極的に発表して行こうとおもう。
それにしてもJAGESのデータを使わせてもらって、発表として形になるくらい「自分の研究」があったのは本当によかった。これもDiversityを求めて彷徨ったことが功を奏したのだろうし、アウトローな我々を面白がってくれて受け入れてくれた克則先生や尚己先生、藤原先生のおかげだ。感謝しかない。ありがとうございます! 次の一か月も楽しくガシガシやる!
▼紹介された書籍・論文
What matters most: quantifying an epidemiology of consequence
http://www.annalsofepidemiology.org/article/S1047-2797(15)00044-7/abstract
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