健康は誰のものか


 タバコの増税が現実味を増してきた。いったい、ひと箱300円がいくらになるのか。
 
 タバコは元来吸わない私ではあるが、調査地にはたいていタバコを持っていく。村の人たちにあげるためだ。「日本のタバコはとても濃くてうまい」といって彼らにはすこぶる好評だ。みんなに頼まれるのでカートンで買って持って行っている。健康のことを研究しているのに、井上はタバコを配って人々を肺がんのリスクに曝しているのか、という批判を受けそうだが、彼らも自分たちでリスクはわかっていて、吸う吸わないは彼らのチョイスだから、個人的にはいいのではないかと思っている。
 
 ただこれ以上値上げされるとさすがに持っていけない。
 
 確かに欧米諸国と比較すると日本のタバコは「安い」だろう。中国のタバコと比較したって、物価水準を考えると、「安い」といえるだろう。彼らが吸っているのは5元(65-70円)くらいの安いタバコだが、袋入りのインスタント麺が10円ちょっとで買える場所であることを考えると、日本のタバコの割安感が際立っている。

 だから財源確保のために少し値上げしても消費量はそんなに減らないだろうから、確実に税収増を見込めるだろう。ただ一部の政治家が「健康のためにタバコの値段をあげよう、むにゃむにゃ…」とのたまうことには、あまりいい感じを持たない。(それと同じくらい、タバコ税は大衆税だから・・・と反論する政治家にもあまりいい感じは持たない。)
 
 国の財源確保のためとか、肺がんが増えると国の医療費が増大して困るからとか、なぜホントのトコロを言わないのだろうか。「健康推進派」の発言を聞いていると、どうしてもなんであんたに私の健康の気遣いをしてもらわなくてはいけないのかと反発したくなってしまう。どうも私はパターナリスティックな発言に過敏に反応するようだ。もうすこし素直になってみてもいいのかもしれないけど、なんかすっきりしない。うーむ。


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