中国東方航空の機内食と新しい共同研究者募集


5491463754_150ef9b153 中国東方航空の機内食は不味い。不味過ぎて文化的な価値を発揮し始める予感すらある。今回の出張で久しぶりに東方航空に乗り、南方航空のほうがよほどましであることを認識させられた。

 ファーストクラスやビジネスクラスに搭乗すれば美味しかったりするのであろうか。いまだかつてファーストクラスにもビジネスクラスにも乗ったことがないので判断しようがないが、エコノミーとファーストクラスで提供される機内食の質に大きな格差があって、それが中国人エリートが認識する実世界を反映したものだとしたら、それはそれで笑えるし、納得感がなくもない。

 とはいえ、これから人々(≒一般ピープル)がサービスに期待するスタンダードが上がっていけば、このままではいられない日がきっといつか来るのであろうけれども。ある日、突然美味しくなるのだろうな。

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 話題変更。

 今回は井上・李体制で行う最後の出張になるはず。来月からは修士新1年生を交えて少なくとも3人体制。誰が参加してくれるか楽しみ。フィールドワークを希望している修士1年生が3人いて、インドネシアチームとニューギニアチームとの競合。さすがに優先指名権は競合2チーム(教授と准教授)にあるから、「残り物には福」作戦を取るしかないのだけど、もちろん本人が強く希望すれば海南島チームへの逆指名もあるはずなのでアピールが重要。

 ということで絶対このサイトを読んでいないと思うけど、アピール。

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▼中国研究をする上でいいところ
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・人口13.4億人――アジアの中で圧倒的な存在感。
 今日の機内の新聞に書いてあったけれども、中国の人口は13.4億人を超えたそう。GDPも日本を追い抜いて世界第二位。これだけの巨大な国が政治的にも経済的にも重要であることは疑いようがなく、その地域研究に対する社会的要請はしばらくは続きそう。学問の自由は社会的要請とは独立して存在するべきという考え方もあるだろうし、それには賛成するけど、日本社会に余裕がなくなりつつある現在、実践的、実利的な研究が優先されていく可能性は高いと思う。
・研究の数が圧倒的に少ない。
 上記に示したように高いニーズがある(はずである)にもかかわらず研究自体は、医学研究も人類学的な研究もまだまだ少ない。特にこれまで外国人による人類学調査はほとんど許可されてこなかったこともあり、分かっていないことはまだまだ多い。研究者にとって対象が「未開」であることは、その後の研究者人生を考える上でとても重要なこと。
・中国語がそれなりに話せるようになる。
 調査はやはり大変なことなので、中国語習得を目標にフィールドワークをするとしたらあまりにもコストパフォーマンスが悪いけど、副作用的に中国語ができるようになるのもまた事実。研究者として失敗する、もしくは他の道に進むつもりはなくても、気分的になぜか救われる。少なくとも高校の友人に会う度に、「井上は英語も中国語もできるのだから早く就職してしまったほうがいいんではないか」というポジティブな心配のされ方をする。

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▼中国研究をする上で悪いところ
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・何かと規制が多いのは事実。
 しかしそれはそういうものだと最初から思っていればそんなものだ。はじめていくフィールドがそうであれば、それがスタンダードになって他の場所に行くときに楽。もちろん現時点で実際に調査は出来ているのだから、基本的には心配はしなくていい。
 たとえば、サンプルの国外輸送は不可能である。でもこれは海南島内で実験拠点を作ってあるので問題ない。長期のビザが取りにくい(基本は最長3ヶ月)ことも、たとえば中国の大学の留学生となれば長期ビザを取得することができる。工夫すれば何とかなる。(←これ、フィールドワークにおける最重要基本姿勢。)
・カウンターパートとの折衝などに時間を割かれている気がする。
 その辺は先生や井上に押し付ける。
・反日感情があるのではないかと毎回周囲の人に心配される。
 少なくとも普段生活しているうえでそういったことを感じたことがない。村でもそう。みな気を使ってくれているのかも知れないし、これからそういった場面に出会うかもしれない。いずれにせよ、いろいろと聞かれたときにどのような対応をするのかは考えておいたほうがいい。
・村で酒を飲まされて仕事にならない。
 たとえば漢族の村で調査すればこうした問題は起こらない。黎族の村でも真剣に飲めないと説明すれば飲まされない。むしろ飲まされそうになったときに「まあ付き合って飲むか」と思ってしまい、さらにエンジョイしてしまう自分の弱さを責めるべし。(ラポールの構築という意味では酒席、とくにカラオケは最高の機会であるのもまた事実だが。)
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 修士新1年生には、中国研究のいいところも悪いところも理解したうえで、中国で研究することを決めて欲しい。はっきり言って大変なことも多いけど、それだけのやりがいはあると思う。

 できれば、ほかの研究室に所属している博士課程大学院生や修士課程大学院生であっても海南島チームに参加して欲しい。少人数でやるのは限界があるし、大人数でわいわいやるほうが発展する。twitterとか、辞めてしまったけどmixiとかで共同研究者を募ってみようかな。修士でうちに来てくれるなら学部4年生の卒論でもいいな。

 とはいえ、フィールドワークに一緒に行くにあたってその人と性格が合うかどうかは、調査成功を占う上で本当に重要なファクターなので、面接するなり、飲み会するなり、普段のいろいろなやり取りを観察するなりしてしっかり見極めさせてもらいたい。学生さん自身とか井上の問題っていうよりも相性の問題なので、こればっかりは時間・空間を共有してみないと判断できない。

 ということで調査希望者はこちら(inoyo [at] humeco.m.u-tokyo.ac.jp)までまずはご連絡を。


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