君は自殺を考えたことがあるか
去年、小学生の小論文を教えてて、どういうわけか、自殺の話になった。
詳しい話はすっかり忘れてしまったが、かすかな記憶をたどると、生徒の一人が小論文の中で、自殺に触れ、「そんなことをする人は馬鹿だと思います。」といった具合に、意見を述べたのだったと思う。
わたしは、なにか彼らに考えて欲しいと思った。
私は道徳の教師でもないし、聖人君子でもないので、そんなにえらそうなことをいう立場には全くないが、ふたつの文章を彼らに読んでもらった。
ひとつは高史明の『生きることの意味』の前書き、そしてもうひとつは森毅の『まちがったっていいじゃないか』から「君は自殺を考えたことがあるか」だった。
どちらも小学生には少し難しかったかもしれない。でも、両方ともわたしが読んで少なからず影響を受けた本だった。単なる自己満足だったのかもしれないが、彼らの中で何か感じてくれればと思った。
自殺をする人は馬鹿だと思います――
その言葉がどうしてもわからなかったし、同時にすごく怖かった。
自殺をすることは自分の死を軽視していることではないと思う。悩んだ末に下した決断だと思う。そう信じたい。
ただ、他人を困らせるために、あてつけのために、自殺するのは、あまりにも悲しすぎる。
自分で、他人ごときのために、自分の可能性を消し去ることは、あまりに情けなすぎる。担任教諭から注意された直後に自ら命を絶った北九州市の小学5年になる男児。悲しくてしょうがない。どうしてかわからない。
彼の友だちには、思いきり、馬鹿と叫んで欲しい。そしてたくさん泣いて、いつまでもいつまでも、彼の馬鹿さ加減を忘れずいとおしむ優しい子たちでいて欲しい。