サンザシの樹の下で


原題は「山楂树之恋」で、中国国内でベストセラーとなった同名の小説が原作である。監督は「初恋の来た道」の張芸謀。

舞台は1970年代、文化大革命の時代の中国。毛沢東思想のもと、みんながそれぞれの労働に従事していた。女子学生であった静秋(Jing Qiu)も西坪村を訪れ、農民と共に暮らすことになる。そこで出会ったのが地質調査隊として村の近くで調査をしていたスン青年だ。二人はすぐに互いに惹かれるようになる。

ただ、時代が自由な恋愛を二人に認めなかった。静秋の父は労働改造所に送られ、母も走資派のレッテルを貼られていた。学校に先生として残ることを希望していた静秋だったが、そんな「家柄」のためになおさら党が好むような存在でないといけなかった。そしてそれを母に求められた。

「密会」を繰り返していた二人だったが、二人でいるところを母にばれてしまう。母に会わないようにと懇願されたスンは、「いつまでも静秋のことを待つ」と言って、姿をしばらく見せなくなった。時代に、そして運命に、二人のプラトニックな愛は翻弄されていく。

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全体としては好印象。「古き良き時代」感がにじみ出ていた。酒井美紀に似たヒロインの女優、周冬雨の純朴さがそれを支えるのだろう。でも、今のオラオラ中国の若者が見ても面白くないだろうとも思った。

シーンの切り替えが少し急な印象であったことと、ストーリーが若干淡泊だった点は残念だった。また、もうすこしタイトルにもあるサンザシに引き付けてもよかったのではないか?

あと映画を見出してすぐ思ったのは、今の村とそんなに生活が変わっていないということ。もちろん時代考証はされているはずだから、1970年代の農村と現代の海南島の農村(結構貧しい部類の農村)は本当に大差ないのだろう。昔、ある新書で中国旅行は時間旅行のようだという笑い話を書いていたものがあった。大陸人は海南島への旅の中で、昔を懐かしむ「心の旅」をあわせてしているのかもしれないと、ふと思った。

▼映画ホームページ http://sanzashi.gaga.ne.jp/
▼goo映画 http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD18231/index.html
▼本文中の「ある新書」


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