幼少期の両親との離別体験とうつ症状

Inoue, Yosuke, et al. “Association between parental absence during childhood and depressive symptoms in adulthood in rural Vietnam.” Journal of Affective Disorders 311 (2022): 479-485.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35598745/

背景: 子ども時代の親の不在が成人期のうつ病・うつ症状と関連していることが示されていますが、ベトナム戦争(1955-1975)中および戦後に多くの子どもが親と離ればなれになったベトナムでこの関連についての研究は行われていませんでした。本研究では、ベトナムカインホア省の地方コミュニティ住民を対象に、子ども時代の親の不在とうつ症状の関連を調査しました。

方法: KHCSの基礎調査に参加した40歳から60歳の3000人のデータを使用しました。うつ症状は、11項目のCES-Dうつ病評価尺度で評価されました。15歳前に死亡、離婚、他の場所への移動による親の不在に関する自己報告情報も収集されました。関連性を調べるために、ポアソン回帰分析が使用されました。

結果: 3歳から15歳未満で親の不在を経験したことが、うつ症状の有病率をそれぞれ1.21倍(95%信頼区間[CI] = 1.02-1.43)、1.41倍(95% CI = 1.15-1.73)高めることと関連していました(pトレンド<0.001)。親の不在の理由別に関連を調べたところ、他の場所への移動による親の不在が最も強い関連が見られました。

限界: 親の不在を経験した後、誰と生活していたかの情報がありませんでした。また、子ども時代の体験に関する自己報告情報は、思い出しバイアスの影響を受ける可能性があります。

結論: ベトナムの地方地域において、子ども時代の親の不在は中年期のうつ症状の有病率を顕著に増加させることと関連していました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.

ABOUT US
inoyo