説明資料として雑誌に掲載できる程度のクオリティの地図をQGISで作る


調査地などの情報を図示したいとき、どうしていますか? 「白地図 ○○」などと検索し、出てきた白地図をパワポに貼っていたりすることが多いのではないでしょうか? なんとなくの場所に☆でもつけて「ここが調査地!」などとしておけば、情報として十分足りるのは事実です。
 ただ、博論やジャーナルに掲載する地図など、ちょっとこだわりたいときもあるかと思います。今日は、そんな時に活用できるかもしれないメモを書いてみたいと思います。

QGISのダウンロード

GIS(地理情報システム)は地図を書く以外の用途がメインのソフトウェアですが、私はもっぱら地図を書くために使っています。有名なのはArcGISというソフトですが、個人で購入するのにはとても高価です。地図を書くためだけに30万も40万も出すわけにはいきません。
 そこで力強い味方になるのが、QGIS(英語サイト日本語サイト)です。統計ソフトのRのようにフリーでオープンソースのソフトウェアです。地図を作成するにあたり、まずはQGISをダウンロード&インストールしましょう。手順に関しては、こちらのnoteの記事が参考になるかと思います。

シェープファイルのダウンロード

GISの基本となるのは、シェープファイルです。これは、地図上の土地の区画や道路・川に対応させた多角形(ポリゴン)や線分の情報を持ったファイルのことです。日本地図でしたら、大小さまざまな島をそれぞれ多角形で表して地図上に載せているといった感じです(.shp、.shx、.dbfの三つのファイル形式で1セットです)。

行政区画等のデータであれば、ネット上に無料で公開されていますので、以下のように検索すればシェープファイルをゲットすることができます。

ちなみに冒頭の地図の作成に当たってはUCバークレーのサイトから、
・ベトナムの行政区間のシェープファイル
・ベトナムの道路網のシェープファイル
をダウンロードしています。

QGISにシェープファイルを取り込む

ダウンロードしたシェープファイルをQGISにドラッグしましょう。

QGISを開いたうえで、「.shpファイル」をQGIS上までドラッグすると、自動的に地図が読み込まれるかと思います。

複数のシェープファイルを取り込んだときは、「レイヤー」の表示をさせるとどのようなデータがQGIS上にあるかがすぐにわかって便利です。チェックボックスにチェックを入れたり外したりすることで、そのレイヤーの表示の切り替えができます。

また、もしレイヤーの表示がされなくなってしまったら、メニューバーの「ビュー」>「パネル」>「レイヤー」の順に選んでいけば表示させることができます。

地点の登録

最初の地図の病院のマークは調査地の場所です。緯度と経度の情報が入ったCSVファイルを準備して、取り込みます。
緯度はLatitude(Y)、経度はLongitude(X)です。Google mapで登録したい地点の位置情報を調べて、CSVファイルを今回は作りました。
詳細な情報はこちらのnoteの説明が分かりやすいです。

デザインを変える

各シェープファイルの空間要素のデザインはPropertiesから変更することができます。レイヤーパネルの空間要素上で右クリックをして、Propertiesをクリックしてください。

例えば、今回の地図の調査地の場合であれば、シンボルを病院マークにしたということです(シンボルグループをスクロールしていってください)。シンボルのサイズを変えることもできます。

他にも、行政区画を表示させる色を変更したり、行政区画ごとに割り当てられている値(たとえば人口数)に応じて、色を塗り分けるといったようなこともできます。

地図モードでの作りこみ

ある程度内容が固まったら、地図モードでの作りこみを行います。こちらのページのまとめが分かりやすかったです。メニューバーの「プロジェクト」>「New Print Layout」を選んでプリントアウトするドキュメントを作成します。

上から三つ目のボタン(青く選択されているボタン)を押して編集したい地図を選んだうえで上から四つ目のボタンを押すと、地図の表示させる範囲を拡大・縮小することができます。四つ目のボタンを押さないで拡大・縮小しようとすると、パソコン上の表示画面自体が拡大・縮小されることになりますので注意してください。

あと、地図ですので、縮尺と方位記号を入れるのを忘れないようにしましょう!
*縮尺:メニューバーの「アイテムを追加」>「スケールバーを追加」
*方位記号:「アイテムを追加」>「画像を追加」>表示させたい場所をクリック>アイテムプロパティに表示される「検索ディレクトリ」から選ぶ。

その他

  • シェープファイルを追加する際に座標系をどれにするか尋ねられたら、QGISの画面右下に表示されている座標系を選ぶのが無難かと思います。この辺はおって勉強したほうがいいかと思いますが、地図を「お絵描き」するだけならあまり深入りしないほうがいいかと思います。
  • かなり簡単な説明ですが、3,4時間あればQGISのダウンロードから初めて、簡単な地図は書けるかと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください