「不安定性」を抱えることと国際協力の分野で生きるということ


いよいよ来週に迫ったidpc。
そのスタッフブログに寄稿した文章。
http://idpc.blog.shinobi.jp/

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先週金曜日、日経新聞の朝刊32面に、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの広告記事が掲載されていました。同社理事長である中谷巌氏が「今、若者たちへ 次世代に送るメッセージ」というタイトルで受けたインタビュー記事です。

彼は、その記事の中で、若者の強みについて語っています。
――若者は「経験が浅く、知識が不十分」である。それがゆえに若者の精神状態は、不安定にならざるを得ない。しかし、この「不安定性」こそが、若者のエネルギーの源泉であり、最大の強みである、と。

彼はこうも述べています。20代の仕事は「とんがる」ことである、と。周囲に飲まれずに主張し、徹底的に打ち込む。ぶつかる。不安定をエネルギーに変え徹底的に「とんがる」。そして、その中で様々な失敗をし学ぶことがある、と。

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私はこの記事を読んで、Seteve Jobs(米アップル社の創業者)が、2005年にスタンフォードの卒業式でおこなったスピーチのフレーズ、”Stay hungry, stay foolish.”と相通ずるものを感じました。私たちは、不安定さを目の前にしたときに、つい安寧を求めがちです。しかし、現状に満足をしたり、知ったかぶりをしたりすることで失うものは、得るものよりもずっと大きい。だから私たちは、あらゆることに貪欲であり続けなければならないし、より良い答えを探し続けないといけないのです。

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国際協力に興味を持つ、という周囲の学生と話していて物足りなく思うことがあります。それは、はなからリスクヘッジをしようとしている学生が多いからです。こうすれば食べていけるとか、就職するには修士号をとって実務経験が二年あればいいとか、NGOだと食べていけないからどうしよう、とか。しかも一度分かれば話しても仕方がないことを、何度もこねくり回して話したがる。不安定をなんとかして安定に変えるということを唯一無二の目的にしているかのように。

私たちがもし、本当に発展途上国の貧困問題を解決するつもりがあるのであれば、職を得ることはあくまでもスタートに過ぎず、ゴールではありません。だから、キャリア云々の話をするよりも、どのような世界が望ましいか語るべきですし、その世界の達成に向けて、自分はどのようにかかわっていくのか思考をめぐらせることのほうが、間違いなく有意義でしょう。つまり、もっと「その先」を目指して、どんどんどんどんとがっていくべきだと思うのです。他ならぬ「不安定性」を内包し、明日への動力としながら。

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いよいよ来週に迫ったidpc2009の場において、とんがった参加者がたくさんいることを心から期待します。そしてお互いにとんがりあって、それぞれの参加者のとんがりが、ますますとんがるようであれば、企画に携わったものとしては、とてもうれしいことです。とんがりコーン。


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