リー族と酒/私と酒


img4a8d4504e8f34リー族は毎日のように酒を飲む。正確には、「毎日のように」ではなく「必ず毎日」である。ひどい人になると毎食、酒を飲む。村人たちと一緒に食卓を囲む私も当然のように、毎日の酒に付き合った。

彼らが飲むのは自分たちで作った酒だ。酒には種類がいくらかあるが、一番よく飲まれるのは、米から造った蒸留酒(ンガウ)である。いかんせん自分たちで蒸留するので、品質は安定しない。癖がなくおいしいときもあれば、雑味がきつく飲むのがつらいときもある。当然家によっても味は全然違う。

img4a8d450480b07その酒を100ml強入るショットグラスで互いにあおりながら飲むのが習慣だ。彼らによるとアルコール濃度は25度くらいとのことだが、実際のところはわからない。そこまで濃い気はしないが、あおられながら5、6杯飲むとグデングデンになる。いくら村人との交流が大切とはいえ、さすがに泣きたい気持ちにも時にはなる(笑)。何しにここに来たんだろうって。

酒の肴は、いろいろある。牛、豚、鶏はもちろんのこと、アヒルなどの肉はきちんと手に入るし、そんなに珍しい食べ物でもない。頻繁に食卓に並ぶ。家のすぐ脇の畑に生えている野菜、たとえばかぼちゃの葉などもよく食べる。白菜やたまねぎはバイク行商から買う。近年は現金収入も増えてきて、バイク行商の利用はどんどん増えている。

しかし、「調査地らしい」食べ物も同時に存在する。ネズミ、ヘビ、カタツムリ、タニシ、カエル、おたまじゃくしは結構頻繁に食卓に並んだ。食事をはじめてしばらくは、そちらに箸が伸びないが、酒に酔っ払うと、何も怖くなくなる。何でも来い、端から食べてくれるわ、そんな気になるのである。

img4a8d450442abcそれでも、あえて一番強烈だった料理をあげると、ネズミ・ヘビ・カエルを一緒に調理した料理だろう。ヘビなどごく普通に思えてきてしまう、非常にインパクトのある料理だ。

日本でもたとえば中華料理店などでカエルを出す店があることは知っているし、食したことがあった。ただそういう時は、きちんとした処理をして食べやすい状態にしてある。ところがこちらにはそういう感覚はあまりない。たとえば、皮ははいでいない状態で調理していたから、カエルの肌色がそのまま見えたし、なによりも姿かたちそのままである。

img4a8d450504ebeネズミは内臓を取った後一度、火で周りを炙って毛を燃やしきっていた。その味はどこか土臭い。口に入れて、これはたんなる肉なんだ、と思い込もうとしても、絶えず視界に入る尻尾が、「ネズミ」を強烈に意識させる。

酒というのは本当にすごいもので(また同時に怖いもので)、酔っ払った私に、ネズミの尻尾を食べてみようという気を起こさせ、頭をかじってみようという冒険心を沸かせた。そして、いざ一線を越えてしまうと、たいしたことはない。(もちろん日本で食べたいとは思わないけど。)

img4a8d45044af91他にも彼ら特製の熟れ寿司は強烈だった。発酵は相当進み、もはや魚はその原形をとどめていない。ただ、熟れ寿司は不思議で、はじめはいやだったのに、いつの間にか体が欲するようになった。

ここにあげた「調査地フード」、びっくりするほど美味しいわけではない。ただ、これを読んでいる皆さんにも一度は食べてもらいたい。誰も食べたくないだろうけど。

最後にyoutubeにアップした宴会の様子を貼り付けておこう。彼らの言葉リー語が飛び交う食卓である。



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