研究会/20130914


研究会名称

平成 25 年度文部科学省科学研究費新学術領域研究
「現代社会の階層化の機構理解と格差の制御:社会科学と健康科学の融合」
—–
第 3 回定例研究交流会シンポジウム
社会階層と健康:疎外と貧困を巡る諸問題

発表1:橋本英樹先生

貧困の測定

・家計状況の測定
 (1)所得ベース
   労働所得(=労働の市場価値)をもとにした階層指標
   年齢層によっては問題かも?
    高齢者:Assetのほうがいいという議論もある
    若年層:親からのTransferや借金の効果

 (2)消費ベース
   ライフサイクルに拠らない恒常収入を反映
   経済学でよくつかわれる。
   公衆衛生で使われてこなかった理由:Round-upがおこりやすいこととRecall bias。
   
・「貧困」線の設定
 (1)所得分布による
   OECDの国際比較
   格差の大きさによって意味が変わりうるという指摘。
 (2)消費分布による
   生活保護基準部会
    第1種(食費・衣服など個人依存財)
    第2種(光熱費・家賃など世帯によるスケールメリット財)
   Food Clothing Shelter and Utility (FCSU) estimation
 (3)Consensual Measuement of Poverty
   対象者の50%以上の人が必要だと回答したものがあるか、ないかで貧困を定義。
   「普通の社会生活を営むうえで必要と思われるもの」
   経済的理由による「社会的排除」の状況をより反映するという期待。
   >>「暮らしと家族に関する意識調査」をこれに基づき実施。
    概して高学歴は機能的、女性は社会的つながりへの投資を重視。

発表2:浦川邦夫先生

・主観的厚生:仕事満足度、主観的健康観、主観的貧困感
・Big five inventory(パーソナリティ特性)
  外向性(extraversion)、調和性(agreeableness)、誠実性(conscientiousness)
  感受性(neuroticism)、開放性(openness)

・満足感の高い仕事は労働者の健康観や生産性と正の相関。
・仕事満足度と仕事の特性(社会性、安定性、業務負担、動労時間、多様性、裁量性、成長性)は強い相関。
・Capability for work
  価値があると考える仕事に携わる機会、自由の程度。
  ■評価方法(0-15)
   自分自身の仕事の裁量がある(5段階)
   自分の能力や強みをいかせる(5段階)
   多様性がある(5段階)

▼会場からのコメント
・Functionings(達成した機能)とCapabilityの識別化は?
・Demand-controlモデルのControlとどう違うのか? 既存の概念とのすみわけ。
・Capabilityのどの要素について分析しているのか?

発表3:杉原陽子先生

・セルフ・ネグレクト
  自分自身の健康や安全を脅かす(高齢者の)行動。(National Center on Elder Abuse))
   適切な食物や水、衣服、住まい、衛生、服薬、安全対策を拒絶したり、
   得られていない状況として一般的には顕在化。
  在宅で高齢者が、通常一人の人として生活において当然行うべき行為を行わない、或いは、
  行う能力がないことから、自己の心身の安全や健康が脅かされる状態に陥ること。(津村, 2009)

・評価方法
  「衛生」「環境」「医療・介護」「緊急対応」「孤立」の5分類(津村による)、
  および、それらの下位分類によってアセスメント。
・セルフネグレクト状態になった背景
  認知症/独居・孤独・離死別/性格/家族の問題/けが・病気/精神疾患
  アルコール/経済問題/人間不信/過去に訳あり/高齢/医療不信/その他

・介入の法的根拠

▼会場のコメント
収入源は? 生活保護はそんなに多くない。
医療介入が必要なケースが多いのでは? 医師会とのつながりは? 都区内はあまりない。
安い介護サービスをうけられたりするか?:そもそも申請しない人もいる。申請主義。
精神保健法など(Life-thretening)で対応するしかないのが現状。
さいたま市の取り組み:民間(電気・ガス事業者など)に通報を依頼し、生じた問題は行政が引き受ける。

発表4:杉原陽子先生

・シングルマザーと心理ストレス
  経済的困窮
  ソーシャルサポートの欠如
  就業形態
  などの側面が検討されてきた。

・日本の状態
  123万世帯
  増加傾向にあるが、他の先進諸国に比べると少ない。
  子どものいる世帯の11%が母子世帯。
  離婚による母子世帯が多い。
  貧困率が高い(54.3%)/就業率は高い(約8割)。
  養育費の受給率が低い(19.7%)。
   養育費の受給率と貧困率は逆相関にある。
   Skinner, Bradshaw, and Davidson (2007) Child Support Policy: An international perspective
   http://php.york.ac.uk/inst/spru/pubs/215/
  
・末子の年齢が母親のCES-Dスコアに影響している。
  消費支出のプレッシャーが増えていく。
  子どもの問題行動が増えていく?
・Financial SupportはむしろCES-Dスコアを上昇させている。

・キーワード
  厚労省 全国母子世帯等調査
  CES-D(簡易版): Center for Epidemilogic Studies Depression Scale
  http://cesd-r.com/
  Work-family conflict

▼会場のコメント
シングルマザーは、経済的な負担に加えて、Household Functionを享受できていないという
側面が大きいのでは?


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

前の記事

MTG20130913

次の記事

研究会/20130922