そして、これから


ちょうど、中高でやっていた水泳みたいな感じだ。
もちろん試合とか練習で真面目に泳ぐとつらくて死にそうになるけど、
そうじゃないときの水の中はとても心地よい。
静かで深くに引き込まれる感覚。すごく特別だ。
特に、飛び込むときに全身を走り抜ける爽快さは、
本当にたまらない。

でも、ずっとはいられない。
いつかはそこから出ないといけない。
レースを終えることを考えながら泳いでる。
水から上がることを考えながら泳いでいる。
もっと言っちゃえば、帰り道のコンビニで
何を買おうか考えながら泳いでいる。

ずっと思ってた。
日本での豊かな暮らしという「保険」を掛けながら、
ここで暮らすこと、ましてやコミュニティーを助けるだなんて思うこと、
それは、なんて浅はかな考えで、偽善的なんだろうって。

結局、この5ヶ月の間、日本を忘れることは全くなかった。

出口を意識しながら、「いる」って、やっぱり本物じゃない。
もちろん、「偽善的」であることがだめだと言うつもりは毛頭ないし、
「偽善的」な人すらいなくなっちゃったら世の中、困るし、
そもそも私は日本人なのだから、
真剣に日本のこと忘れられても・・・って言う話で、
偽善的でも何でもかんでも、ここ、カメルーンまで来た自分には
最大級の賛辞を与えたい。

でもね、
思ってたのとは違うかも。

この地を去ること、実は半端なく、悲しい。
全然悲しくなかったオーストラリアから帰ってくる時とは全く違った感覚だ。
でもそれは、もうこの地を訪れることがないという予感の
裏返しであるような気がするし・・・。

もう、分からない。

うーん本当に、さっぱり分からないや。
これから先、私がどのような人生を送るか。
もっとも分かっててもつまらないんだけど。

高校生のとき、医者になりたかったのは、
本当に単なる格好つけだったような気がするし、
今でも格好つけたいのは、変わらないんだけど、
やっぱり違ったかなって。

どう考えても、言い訳とか負け惜しみに聞こえるけど、
そんな言い訳をしちゃう自分がかわいかったりもするし。
人間らしくていいじゃない。
それに、一応(笑)本当にそう思うし。
数学が出来なくて(高校3年生のあの時に、)よかったなって。
だって、数学ができて「しまって」いたら、
きっと、この人生は歩めなかったわけだし。

少なくとも、ここまでの人生にさしあたって大きな不満はない。
「この」人生で出会った多くの人に心から感謝している。
そして、この5ヶ月間という、“無駄”な時間を
過ごす中でいろいろ考えれたこと、
それは、まちがいのないひとつの事実で、きっと財産になるはずだ。

情報から隔離されたこの世界で少しは培ったかな――
世の中に対して、斜に構える姿勢。
一歩下がったところから、皮肉っぽく見る精神。
そんな余裕を持ったいやらしい大人になりたい。

与党的というよりかは野党的でありたいし、
野党第一党というよりかは、「山椒は小粒でもぴりりと辛い」野党になりたい。
尾崎豊のような「意味のない」反抗をするつもりないけど、
でも少しあこがれてみたり、
「小林よしのりって、変な人だと思ってたけど、実はまともなことも言うよね。
でも姜尚中(カン・サンジュン)みたいなクールさの方がかっこいいよね~」
みたいな。

うーん、謎い。

花形の広告代理店から日本の1NGOに転職した人の言葉に感動したのが、
今から4年前。
 「お金で動く人の気持ちは分かったから、
 今度はお金で動かない人の気持ちを見たかった。」
ダイアナ妃の言葉に出会ったのが今から8年前。
 “Nothing brings me more happiness than
 trying to help the most vulnerable people in society.
 It is a good and an essential part of my life, a kind of destiny.
 Whoever is in distress can call on me,
 I will come running wherever they are.”
小学校のころに通っていた塾(学進ゼミ)の先生に言われて、
真剣に考えちゃったのが今から10年前。
 「お前は自分のためでなく、世界のために勉強しろ。」
テレビのドキュメンタリーのワンシーンで、
アフリカのやせほそった女の子を「見てしまった」のが今から15年前。

そして、その姿を忘れられずに過ごしてきた、この15年間。
本当に単純だから、乗せられやすくて、
かっこいい言葉に感動しちゃうし、画像が頭から離れなくなっちゃうし。
第一、『ナースのお仕事』の台詞に感動して、
『Dr.コトー』の涙にもらい泣きしてしまう人なんだから、しょうがない。

とにかく、Noblesse Oblige――
中高のお偉いさんが学校に来るたびに全校集会で言っていたこと。
それを、もう少し考えないと。
自分がその身分にいるかどうかはおいておいて。

そして、この時間で得た何かを使って、これから先の人生を生きること、
もしくは、この時間で何を得たのかを考え続けること、
それがさしあたっての課題であることは間違いがない。

そう、「そして、これから」。