
私たちが調査するとき、血液や尿といった生体試料を取ることはハードルが少し高い。身長や体重を測るときに比べると必要な準備が多くなるからだ。途上国では施設が不十分なことが多く、日本でするようにサンプルの保管や運搬を行うことができない。冷蔵庫だけでなく、そもそも電気すらないことだってあるのだ。(そういうところだからこそ、調査・研究することが大切なのに!)
そんな時に私たちが使うのが濾紙血。英語ではDried Blood Spotという。指先を穿孔して得た血液を特殊な濾紙に垂らし十分に乾かすだけ。こうすれば保存条件に頭を悩ます必要もないし、濾紙でかさばらないので輸送がラクである。実験設備が調査地の近くにどうしてもなければ、日本に持って帰ってきてから分析すればよい。血液中のいろいろなものを測ることが可能で、私たちはC-reactive ProteinやEpstein-Barr Virus抗体価を測定している。
採血管による採血よりも侵襲性が低いのもこの方法のメリットのひとつである。指先の穿孔による採血は、マラリアの検査で人びとが経験していることが多い。ちなみに写真は五指山市の村でお世話になったお家の次男(カラオケ友達)。採血される前の顔。
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