マルチレベル分析(3)


 今日はマルチレベル分析の用語集に沿ってお勉強。ちなみにWHOのアメリカ地域事務局のホームページにも同一の記事が掲載されています。
▼Roux, A. A glossary for multilevel analysis. Journal of Epidemiology and Community Health 2002; 56: 588-94
Epidemiological Bulletin, Vol. 24 No. 3, September 2003

(0) マルチレベル図解

 まず、Glossaryには掲載されていない内容ではあるが、簡単に図解したものを貼り付ける。間違いがあればぜひご指摘いただきたい。お恥ずかしながら、私は「数学とんちんかん男」なので、一部の方には冗長な説明だろうが、あくまでも備忘録ということでシェアします。
 一番左は、集団間のランダム効果を認めていないもの。真ん中のグラフは切片について、一番右は回帰式の傾きについて、それぞれ集団間のランダム効果を仮定するものです。iが個人を表し、jが個人が所属する集団を表しています。右の二つのグラフでは、集団ごと(j=1,2,3…)に固有の回帰式が存在することになります。一番下に記載されている数式は、切片と傾きともに変量効果を仮定しているときのマルチレベル分析の数式です。変動効果を示す数式を代入し、最後は固定効果と変量効果に分けて表記しています。
 少しややこしいのは、Subscriptが2種類あること。回帰式の係数として使われているSubscript(b0、b1、γ00、γ01、γ10、γ11)と個人を特定するためのSubscript(i、j、ij)は別物ということです。

(1) Model

▼定義の広い言葉
– Contextual effects model:個人レベルの結果変数を説明する変数として、集団レベルの変数と個人レベルの変数を有する回帰モデル。

▼いわゆるマルチレベル分析
– Mixed model:固定効果と変量効果を有するモデルのこと。Contexual Modelでは必ずしも変量効果を仮定しないという含意がある。
– Multilevel models:マルチレベル分析で用いられる統計学モデル。hierarchical modelと同義語として使われてきた。他の同義語としては、Random effects model random coefficient models, covariance components models mixed models など。
– Random coefficient models:Coefficientだけにランダム効果を認めるときに使われる。
– Random effects models: interceptだけにランダム効果を認めるときに使われる。
– Subject specific models: longitudinal dataを扱うときに特に使用される呼称。時系列に沿って同一対象者を追跡して行うから。

▼異なる分析
– Population-average models:変量効果ではなく固定効果で検討。Subject specificではなくPopulation average。別称にMarginal model covariance pattern model、generalized estimating equation modelなどがある。

(2) Data

▼定義が広い言葉
Aggregate data:グループごとに集計して算出したグループの属性を示すデータ。

▼グループレベル
Group level variables:Macro variablesやEcological Variablesなどと呼ばれる。グループを特徴づけるデータ。
Environmental variables:Group level variableの一種。Physical/Chemical exposureについていう。一日の日照時間など。
Derived variables:Group level variableの一種。グループ内に含まれる個人データの平均や割合など。グループの就学率など。
Integral varibales:Group level variableの一種。法律の有無とかが例。グループ内に含まれる個人の要約ではないという点でDerived variablesとは異なる。
Structural variables:Group level variableの一種。Integral variablesの亜種。同一グループ内のメンバー間の関係や交互作用について言及するもの。

▼個人レベル
Individual level variables:年齢、収入など個人の属性。

(3) Fallacy

日本語では誤謬と訳出される。
– Atomistic fallacy: Individualistic fallacy。個人レベルで比較すれば相関があっても、たとえば町レベルのAggregated Dataを使うことで相関が見えなくなってしまう場合、Atomistic fallacyという。
– Ecological fallacy: 生態学的誤謬。大阪大学腎臓内科の紹介ページが大変分かりやすい。
– Psychologistic fallacy
– Sociologistic fallacy

(4) Effect

Compositional effects
Contextual Effects
cross level effects
Fixed effects
Random effects

(5) その他

Cross level inference
Cross level interaction
Empirical Bayes estimates
Intraclass correlation
Non-independence of observations
Variance components