格差社会・アメリカ


Human Biology Association 2015

P1130413 先週、ミズーリ州セントルイスで開催されたHuman Biology Association (http://www.humbio.org/) のAnnual Meetingに出てきた。今回はポスター発表(Activity space expansion and its association with subjective quality of life in the initial stage of economic development in rural Hainan, China)。あまりHuman Biologyではない内容の発表だったのであんまり質問も来なかった。CRPを測って結果を見せた方がオーディエンスとしたらいいのかもしれないけど、毎年同じような発表してもね苦笑 次回はどうしようか。 
 矢澤さんの口頭発表はとても上手くいった(少し長かったかもしれないが)(The interaction of season of birth on the association between QOL and inflammation in China: A Cohort effect?)。今回の発表であらためて全体を振り返って、いい研究になったなと思う。Rice productionを入れたのはかなり渋い。査読がはやく終わって掲載されますように!

イーストセントルイス

P1130533 セントルイスからミシシッピ川をはさんだところに、犯罪率がアメリカで一番高いといわれているイーストセントルイス(http://goo.gl/sgJDZ9)という地域がある。その地域をとおる鉄道(https://www.metrostlouis.org/)があって、最初はその車窓から街を眺めてみた。ちらほら見える廃墟が明らかに危険な地区であることを感じさせた。どう考えても危ないからやめた方がいいのだけど、やっぱり自分の足で歩いて肌で感じておきたいなと思って、翌日の早い時間帯に駅に降り立った。相対的に安全かなと思って。

P1130537 歩いてみて、とにかく目に付くのは廃墟である。通りに並ぶほとんどの建物が廃墟だった。取り壊されたのだろうと思われる更地もたくさんあった。残された建物の壁に跡がついていた。歩いていいる人はまばらにしかおらず、街に生気が全くない。合板で入口をふさがれた建物のあいだで営業している店の窓ガラスには金属製の柵が取り付けられていた。明らかに異様な雰囲気だった。ただでさえアジア人だから目立つのに、カメラを堂々ととっていたら狙撃されかねない。ドキドキしながらシャッターを切った。

P1130491 学部生の時に保健社会学教室が担当していた原書購読の授業をとった。論文を先生たちと一緒に読みながら、アメリカではブロックごとに社会経済状況が大きく違う、健康の格差が存在するのだと教えられた。そのことが初めて身に染みて分かった。日本にだって格差はあるし「貧しい」地区は存在する。でも、その比ではないように思えた。もちろん、日本の貧困を解決しなくていいと言っているわけではない。アメリカ経済が孕む社会問題の圧倒的な根深さを肌で感じてしまったということだ。廃墟の遠くにゲートウェイアーチを臨みながら複雑な気持ちになった。駅に引き上げようとしたときに、何撮っているんだと若者に急に声をかけられた。Touristだといって逃げるように帰ってきた。

P1130511 振り返ってみて、ソーシャルキャピタルの効果を検討するときのソーシャルキャピタルのレンジの違いというのは日米の研究で大きく存在するのだろうと思った。同時にそんな違いがあったとしても、ソーシャルキャピタルが健康を保護する効果が日米でともに観察されるというのはやっぱり興味深いと思った。当たり前といわれれば当たり前な気もしなくはないのだけど、ソーシャルキャピタルの多寡も主観的に認識されているのだろう。