MTG20130729


Chen

中国の農業と農村経済は安定成長

・今年(2013)の夏収穫穀物の生産量は1億3190万トンで、昨年より195万トン増加し、史上最高。
・今年上半期の農民一人当たりの現金収入は4817元で、実質成長率は9.2%
・伸び率は都市部住民より2.7%上回っている。

▼リンク
http://japanese.cri.cn/881/2013/07/22/241s210820.htm

中国で所得格差や失業、不信感がじわり拡大=北京大調査

・北京大学の中国家庭研究班による、5つの省、14960世帯の調査(2012):全世帯の総所得のうち、下位25%が占める比率は3.9%、上位25%の占める比率は59%
・ジニ係数は0.49 (アメリカでは2007年に0.45)
・10年前(2003?)の0.51と比較して小さくなっているのは、農村部の所得増加率が都市部を上回るから。
・調査での失業率は4.4%と低いが、職探しを諦めた「求職意欲喪失者」を含めると、9.2%
・特に若年層、16~19歳の男子については、失業率が15%を超える。
・とは言え、「失業問題に関しては他の途上国よりまし」な状況で、「肉体労働者の賃金が上昇していることからも。深刻な失業問題ではないと考えられる」
・他人への信用度について、1~10で評価した結果、中国人の平均スコアは2.2と信用度が低い。
・共産党幹部は4.9とあまり信用されていないが、アメリカ人の2.5ほど低くない。
・最も高かったのは両親で、9.1。

▼リンク
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323471504578630643675135834.html

近藤尚己氏/読む論文リスト

Åberg Yngwe M*, Kondo N, Hägg S, Kawachi I (2012). Relative deprivation and mortality – a longitudinal study in a Swedish population of 4.7 million, 1990–2006. BMC Public Health 12, 664.
http://www.biomedcentral.com/1471-2458/12/664
相対的剥奪と死亡率の関係 スウェーデン

Saito M*, Kondo N (equal contribution), Kondo K, Ojima T, Hirai H (2012). Gender differences on the impacts of social exclusion on mortality among older Japanese: AGES cohort study. Social Science & Medicine 75(5), 940-945.
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0277953612003449
社会的疎外の死亡率への影響 日本

Kondo N*, van Dam RM, Sembajwe G, Kawachi I, Subramanian SV, and Yamagata Z (2011). Income inequality and health: roles of population size, inequality threshold, period effects, and lag effects. Journal of Epidemiology and Community Health 22, e11.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22012964
収入格差と健康の修飾要因について 日本

Kondo N*, Sembajwe G, Kawachi I, van Dam RM, Subramanian SV and Yamagata Z (2009). Income inequality, mortality and self-rated health: A Meta-analysis of multilevel studies with 60 million subjects. British Medical Journal, 339(nov10_2), b4471-.
http://www.bmj.com/content/339/bmj.b4471
収入格差と死亡率と主観的健康

Kondo N*, Kawachi I, Subramanian SV, Takeda Y, & Yamagata Z (2008). Do social comparisons explain the association between income inequality and health?: Relative deprivation and perceived health among male and female Japanese individuals. Social Science & Medicine, 67(6), 982-987.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2791046/
Social Comparisonが収入格差と健康を関連を説明するか?日本 女性

Kondo N*, Kazama M, Suzuki K, & Yamagata Z (2008). Impact of mental health on daily living activities of Japanese elderly. Preventive Medicine, 46(5), 457-462.
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0091743507005051
メンタルヘルスの状態がADLに影響を与えるか? 日本 高齢者

▼リンク
http://plaza.umin.ac.jp/~naoki_kondo/index.html

健康格差に関する国際比較研究から得られた教訓

I. Kawachi
ハーバード大学公衆衛生学部

アメリカと日本のバブル崩壊の共通点:銀行の危機、失業の増加、政府の介入もむなしく個人消費やコンフィデンスはほとんど上向かない。
日本独特の現象:新卒若年層の就業率が急上昇し、非正規雇用者の比率が大幅に増大
「終身雇用」制の崩壊
若年失業率の上昇→フリーター、パラサイトシングルの増加→非婚率上昇→出生率低下→高齢者の介護問題
JPHCのコホート研究:三世代世帯に住む働く妻は、夫とのみ同居する女性に比べ、親の介護の結果、冠動脈性心疾患(CHD)のリスクが2~3倍高い。夫にはそのような傾向は見られない(Ikeda et al. 2009)Multivariable-adjusted relative risks
血縁者の介護を受けている高齢者の場合、介護を受けている者の性別によって生存パタンが異なる。義理の娘に介護されている男性は妻の介護を受けるより長生きする。女性では、実の娘が最も良く、次いで夫、義理の娘となる。(Nishi et al. 2010)
日本社会には、社会的結束の強さ、伝統的価値観に基づく安定的な家庭など、健全な社会を支える源泉が多くある。
“Trust and Reciprocity”
“Network density tends to increase trust”
“Measurement of Social Cohesion”
“Informal Social Control”
読む論文:T. Iwase et a. 2010 ”Do bonding and bridging social capital have differential effects on self-rated health? A community based study in Japan” http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21172798

▼リンク
http://mental.m.u-tokyo.ac.jp/sdh/pdf/Keynote1-2011.pdf

社会的決定要因の理解のための課題

Ana V. Dez-Roux
ミシガン大学社会疫学・健康研究センター

SDHの理解のための4つの課題

(1)決定要因が様々な社会構造・レベルのものを含んでいること
遺伝子の影響や生活習慣行動などの個人レベルの要因に健康問題をすべて帰着できるわけではない。集団全体としての特性や構造が個人の健康に影響を与えることもある。

(2)因果関係が複雑に入り組んでいること
傾向スコア法
操作変数法
パネルデータを用いた動的解析
Directed Acyclic Graph等を用いた視覚的な因果関係の検討

(3)要因同士のあいだが動的な関係にあり、全体として系を構築していること
従来の線形回帰分析や、その延長であるマルチレベル分析だけでは適切に取り扱えない。非線形なモデルが必要。

(4)どのように得られた知見を具体的な政策や行動に結び付けていくか
ひとつの方法として、システム・アプローチがある。
システムを構築する要素を網羅的に列挙し、その情報を集積。既存の理論・情報に基づき、それらの構成要素の関連モデルを構築し、様々なシナリオのもとでシミュレーション。還元主義的に共変量を制御するのではない点が特徴。

▼リンク
http://mental.m.u-tokyo.ac.jp/sdh/pdf/Keynote2-2011.pdf

公衆衛生におけるパラダイムシフト:社会的決定要因論の再来

Tung-liang Chiang
国立台湾大学公衆衛生大学院

公衆衛生が19世紀に出現して以来、因果をめぐる議論は、ミアズマ説から病原微生物論、生活習慣病論を経て、最近では社会的決定要因論へと変遷。

【ミアズマ説】
衛生観念 ― エドウィン・チャドウィック(現代公衆衛生の父)
(1)ミアズマ説:疾病はごみや下水道からの汚れた空気によって引き起こされる。
(2)公衆衛生的対策:「汚れた空気」を除去するための流れの良いレンガ造りの排水溝の整備
(3)ベンサムの功利主義(「最大多数の最大幸福」)を実現する政府の役割

【病原微生物論】
コッホの仮説(1890年)― 19世紀後半に実証され近代医学の基礎
(1)ある疾病に罹患した宿主では特定の微生物を見つけることができる。
(2)その微生物は研究室で培養することができる。
(3)その微生物が別の宿主に入ると同じ疾病を引き起こす。
(4)その微生物は感染した宿主から分離できる。

1940年にペニシリンおよびステロイドが発見され、近代医学の黄金時代が始まった。

【生活習慣病論】
1940年代までには、非感染性疾患がほとんどの工業先進国における人々に主要な死因となった。
大規模な疫学研究がこれらの疾患の原因を見つけ出すために行われた。
危険因子が発見され、多要因説(Multiple causation)が現代疫学の武器となった。
統計学的関連は、その関連の一貫性、強さ、特異性、時間的前後関係、整合性を検証することによって原因とみなす。

【社会的決定要因論】
1986年 オタワ憲章:健康増進の戦略は個々人の行動に焦点を当てたものから社会の仕組みに焦点を当てたものに変わった。

5つのアクション
(1)健康を支援する政策
(2)健康を支援する環境
(3)コミュニティ活動の強化
(4)個人の技能開発
(5)医療サービスの方向転換

1980年代以降、「選択的プライマリヘルスケア」という限定的解釈と、新自由主義的政策の圧力のもとで次第に弱められていった。(2003年にJ.W.リーが事務局長に就任するまで。)

2008年8月 健康の社会的決定要因にかかわる委員会の最終報告
マーガレット・チャン 「この報告書はこれまでの論争を終わらせるでしょう。(略) 医療サービスへのアクセスやライフスタイルの選択に影響を与える社会環境こそが第一義的な問題なのです。」

▼リンク
http://mental.m.u-tokyo.ac.jp/sdh/pdf/Keynote3-2011.pdf